バランサは、作業効率の向上と安全な作業環境の確保を実現するために、印刷業界で広く使用されている装置です。電気や圧縮空気を動力源とするこの機器は、重量物の持ち上げや正確な位置調整を簡単に行うことができます。印刷現場では、フィルムロール、印刷シリンダー、紙やインクが詰められた重量カートンなど、手作業では負担の大きい物品を扱う場面が多くあります。バランサを導入することで、作業者の負担を軽減し、作業時間を短縮できるだけでなく、労災リスクも低減できます。
この装置の意義は、作業の効率性と安全性を両立できる点にあります。印刷業界においては、効率的な作業フローが製品の品質や生産コストに直接影響を与えます。バランサを使用することで、重量物の取り扱いがスムーズになり、製品の仕上がりを安定させるとともに、全体の作業を効率化できます。
フィルムロールを横向きから縦向きにして、台車に載せる作業には、電気式バランスが適しています。重量があるワークをバランス状態にして、軽々と運搬できます。
ロール芯の内側から挟み込んで持ち上げる内径クランプ式のアタッチメントを採用すれば、反転する際に起こる角つぶれやシワを防止し、きれいな状態を保ったままの運搬が可能です。
使用後のシリンダーを再利用するために反転させて機械にセットする作業では、電気式バランサが多く利用されています。簡単操作で重いワークを思いのままに移動・運搬ができるため、細かい位置合わせも容易に行えます。
シリンダーの外側をしっかり掴んで持ち上げる外径クランプ式のアタッチメントに反転機能を追加。危険を伴う重労働が安全で楽に行える作業に変わります。
紙やインクなどが入った重量のある段ボール箱(カートン)をパレットに積み込んだり、積み下ろしたりする作業にはエア式バランサが最適です。
パレットの高い場所でも低い場所でも、簡単な操作で思い通りに運べます。アタッチメントは段ボールの上面を吸着して持ち上げて運ぶ吸着式や、吸着する面が狭い場合は、段ボールの底を爪ですくい上げて持ち上げるフォーク式が有効です。
ロール状のフィルムの内径から挟み込んで持ち上げる内側クランプ式は、フィルムを機械にセットするときに使われます。作業内容に合わせて90~180度などの反転機能を追加することも可能です。
立った状態のフィルムロールを横にしてコンベアに載せていくといった作業には、外側をしっかり掴んで持ち上げて運ぶ外側クランプ式を採用。90度反転機能を追加してスムーズに運搬できます。外側にシワや汚れをつけたくない場合は、吸着式を使って運びます。
バランサは主に電気式とエア式に分類され、それぞれ異なる特性を持っています。電気式バランサは、センサーによる荷重の自動調整機能を備え、精密な位置決めが求められる作業に適しています。また、停電時には内蔵ブレーキが働き、不意の動作を防ぐ安全設計も特徴です。一方、エア式バランサは圧縮空気を利用しており、粉塵や引火性の高い環境でも使用できる安全性を持っています。シンプルな構造で直感的な操作が可能な点も、エア式の魅力です。
電気式バランサは、正確な位置調整が求められる場面で特に効果を発揮します。センサーで荷物の重量を感知し、動作を自動で調整するため、異なる重量の荷物にも対応できます。また、停電などの非常時にも安全に停止する仕組みが備わっています。
エア式バランサは、圧縮空気を動力源としており、電気を使用しないため、火災や爆発のリスクがある場所でも使用可能です。その直感的な操作性とメンテナンスの容易さから、さまざまな環境で重宝されています。
バランサを選ぶ際には、まず取り扱う荷物の重量や形状、作業環境を考慮することが重要です。たとえば、重量が200kgのフィルムロールを扱う場合、それに対応できる容量のバランサを選ぶ必要があります。また、荷物の形状や素材に適したアタッチメントを選択することで、効率的な作業が可能になります。さらに、作業現場の条件として粉塵の有無や作業スペースの広さ、電源の確保状況なども考慮しなければなりません。
近年では、AIやIoT技術を活用した次世代型バランサが登場しています。これらのバランサは、センサーを利用して荷物の重量やバランスをリアルタイムで感知し、動作を自動で調整することができます。また、作業データを記録・分析するIoT機能により、作業の効率化や安全性向上が一層促進されています。これにより、従来の装置よりもさらに高度な作業が可能となり、現場のニーズに応える性能が備わっています。
印刷作業では、バランサを活用することで複雑で負担の大きい作業を効率化できます。例えば、フィルムロールの搬送や反転作業では、内径クランプ式アタッチメントを備えた電気式バランサが役立ちます。この装置を使用することで、フィルムが損傷を受けるのを防ぎ、安全に反転操作を実現できます。また、印刷シリンダーのセット作業にもバランサは欠かせません。特に重いシリンダーを洗浄機や研磨機にセットする際には、外径クランプ式アタッチメント付きの反転機能を持つバランサが多く使用されます。
さらに、紙やインクを収納した重量カートンをパレットに積み込む作業でも、エア式バランサが活躍します。吸着式やフォーク式アタッチメントを使用することで、無理な姿勢を取ることなく、効率的に高所や低所への積み込みが可能になります。これにより、作業者の身体的な負担が軽減されるだけでなく、作業全体のスピードアップも図れます。
グラビア印刷などに使っている印刷シリンダーを、機械へセットしたり取り外したりする作業は、最大190kgあるシリンダーを反転させ、細かい位置合わせが必要な重労働です。
電気式バランサを導入して作業を改善しました。バランス状態を保持したワークを、スイッチ操作で思い通りの位置に合わせることができます。アタッチメントは、シリンダーの外側をしっかり掴んで持ち上げる外径クランプ式に反転機能を追加しました。
事例参照元:アイコクアルファHP(https://www.aikoku.co.jp/rh/case/detail/printing-01.html)
電気式ラクラクハンドEH450は、動力源が電気で、上下への移動やスピード調整はレバー操作で簡単にコントロールできるバランサです。位置決めも思い通りの場所にピタッと合わせることができます。
センサーでワークの重量を感知するため、重量が違うワークの運搬も可能です。停電などの時は内蔵ブレーキが作動し、ワークの急降下を防止します。
パレットに立った状態で入荷するフィルム原反は様々な種類があり、重いもので250kgあります。それを貼合機にセットするために、中心の紙管に棒を差し込んで反転させるのは重労働であり、危険を伴う作業です。
電気式バランサを導入することで、作業の改善に成功しました。重さを無くして運べるようになり、内径クランプ式のアタッチメントに反転機能を追加したことで、一連の作業すべてバランサを使って安全に作業できます。
事例参照元:アイコクアルファHP(https://www.aikoku.co.jp/rh/case/detail/printing-02.html)
電気式ラクラクハンドEH350は、重量物を吊り上げて、軽々と運搬できるバランサです。常にセンサーがワークの重量を感知するため、様々な重さのワークでも安定して運搬できます。
バランス状態では、ワークを両手で持って作業することも可能です。電気の供給がストップした際には内蔵ブレーキが作動して急降下を防止。押しつけ過ぎや持ち上げ過ぎを防止する機能を追加することもできます。
袋を下ろさず開封+材料投入!
作業時間を短縮する
揺れ防止機能あり
屋外で使える
重さ不明の荷物でも
安定稼働できる