バランサとは工場内などで、重い荷物の移動を行うための助力装置です。導入すると、作業の省人化・省力化を目指せます。重量物を人力で運ぶ際、腰痛の原因になったり、落下などの事故が発生したりする可能性がどうしても高くなるでしょう。
しかしバランサを作業現場に置くと、作業環境に適した機械が運搬をサポートしてくれるので、上記のようなトラブルの予防に繋がるほか、作業効率アップも期待できます。
またバランサは、アタッチメントと呼ばれる対象物を持ち上げたり、掴んだりする付属品を交換することで、さまざまなシーンで活用可能です。設置方法も、天井固定式や据え置き台座式、天井走行式など多種多様。作業現場やワークの内容によって選択できます。
バランサメーカーによっては、オーダーメイドによる作業環境に合ったバランサの提供も行っているので、自社環境にぴったりの製品を探している人は、相談してみるとよいでしょう。
バランサのアタッチメントは7種類あり、それぞれ特性が異なります。作業環境に合ったバランサの導入には、アタッチメントの理解が必要不可欠なので、しっかりチェックしましょう。
バランサを導入する際に苦労するのが、選び方が分からないということ。バランサやそのアタッチメントに種類があり、よく分からないからといって業者任せにすると、自社環境にそぐわない提案をされるかもしれません。
そうならないためにも、バランサメーカーを選ぶ時は以下の4点をチェックしましょう。
バランサ以外にも省力化・省人化を行える助力装置が多数存在します。パワーアシストスーツ・自立式助力装置・スライダーボード・門型油圧リフター・チェーンブロック・ウインチ・チルクライマー・ウィンバッグなどが代表的です。
これらの助力装置とバランサの違いが分からないまま機器の導入を検討すると、作業環境に合わない助力装置を選択してしまう可能性も。他の助力装置との違いを丁寧に理解し、自社の作業内容やワークに適しているのかを比較検討してみることが大切です。
パワーアシストスーツは、作業員の体に装着することで、小さな力でも重量物を運んだり、重たい作業をスムーズに行えたりできるようにサポートしてくれる助力装置です。パワーアシストスーツは任意の場所に運んで作業を行うことが可能であり、様々な場面で利用しやすい反面、導入コストの面で負担が大きくなってしまう可能性もあります。
まずはパワーアシストスーツの特性やバランサとの違いについてポイントを把握しておきましょう。
スライダーボードとは、地面に敷いて使用する板状の助力装置です。プラスチック樹脂材料を用いて作られたボードの表面には特殊加工が設けられており、重量物をボードへ載せた際の摩擦係数を低下させてスムーズな水平移動をサポートします。ここではスライダーボードの特徴やメリットをまとめました。
日常的な業務において、重たい荷物を持ち上げたり運んだりすることは従業員の腰痛や落下事故といった労働災害のリスクを上昇させます。そのため労働基準法では、法的に労働者が取り扱い可能な「重量物」の重さなどについて条件を定めています。ここでは労働者の属性ごとに重量物の制限内容を解説しています。
バランサを操作する際、特別な資格は必要ありません。ただし、吊り上げる荷物の重さが0.5t(500kg)を超えるバランサはクレーンとして扱われるため、玉掛け業務特別教育や玉掛け業務技能講習の受講が必要です。法的な資格自体は不要ですが、バランサの操作時にクレーンなどを扱った経験があれば、作業がスムーズに行えます。
バランサの設置は、可搬重量が0.5t(500kg)を超える場合は「クレーン等安全規則」に準じます。それを超えない重さについては、特別な設置許可を受ける必要はありません。バランサの設置では、許可のほかにも設置場所の安全を確認し、バランサの故障や事故に繋がる可能性のある場所は避けて正しく設置を行う必要があります。
バランサを設置すると、工場内などで重い荷物を運搬する手間が省け、効率化や省人化に役立ちます。機械設備の導入には厚生労働省や経済産業省から交付される補助金のほか、中小企業などを対称とした税制優遇措置が受けられます。募集期間が過ぎてしまうと応募できなくなってしまうため、期限内に応募・申請を行いましょう。
バランサの設置で省人化や省力化を図る際に意識したいポイントが「安全対策」です。急な巻き上げによる事故、吊り上げ中の荷物の落下などはバランサに多くみられる事故のため、万が一の事故を防止する機構やシステムが搭載されている機械設備が必要です。安全対策が施されている設備を比較し、導入にふさわしいものを選びましょう。
バランサには、フック・ワイヤー・スプリングなどさまざまな部品が取り付けられています。消耗をしやすいものは定期的に検査や点検を行い、交換するようにしましょう。取扱説明書を読みながら自分で交換できるものもありますが、交換をしてかえって不具合が起きる可能性もあるため、メーカーの修理担当者やプロの修理業者に依頼してください。
バランサに搭載されているボタンは、非常停止ボタンをはじめ万が一のトラブル対応に必要なものが多く、ワークを空中で一定の位置に固定するバランス機能や、微調整をしながらワークを置くためのフローティングなどにもボタン操作が必要になります。一方、搬送のみであればボタン操作が不要なマシンも登場しています。
バランサは荷物の吊り上げや吊り下げといったさまざまな業務をこなすマシンです。使い続けるほど摩耗や故障のリスクが上がるため、適切な点検が必要です。クレーンに該当するバランサに対しては、クレーン等安全規則に基づいて、作業の前に行う「作業開始前点検」と決められた手順にしたがって行う「定期点検」を実施しなければなりません。
バランサは事前にデモンストレーションを行い、実際のマシンの使い勝手やアタッチメントの種類などをチェックしましょう。常設展示の場合は、企業の事業所や営業所に設置してあるケースが多く、移動式のデモンストレーションカーを保有している場合もあります。展示会は定期的な開催のほか、オンライン形式でも行われています。
バランサの導入では、事前準備としてワークの重量やサイズ、バランサの形状や設置したい環境に関してメーカー・販売業者に伝える必要があります。チェックシートの提出や聞き取りで要望を伝えますが、不明点はそのままにせず質問をして解消しましょう。希望通りのバランサを選ぶためには、導入前の準備を丁寧に行うことが大切です。
バランサの中には、ワークを吸着して上げ下ろしや移動を行える製品もあります。ただし吸着型はすべてのワークに適しているわけではなく、事前にワークのサンプルを用意して、吸着テストを行う必要があります。テストによって得られた結果によっては吊り下げ式に変更するなど、適切なバランサの検討に役立てることができます。
バランサは、重い物の持ち上げや作業の負荷を軽減し、少人数での効率的な作業を可能にする装置です。人手不足の状況で、作業者の負担を軽減し、作業効率を向上させることで生産性を維持・向上できます。また高度なスキルを必要とせず、新人や非熟練者の迅速な投入が可能です。自動化も進んでおり、24時間運用で生産性を最大化できます。産業界の課題である人手不足の緩和に寄与する重要なツールと言えます。
バランサの活用は重労働の負担を軽減し、適切な姿勢を促進することで労働者の疲労とストレスを削減します。作業効率の向上や安全性の向上により、長時間の作業による身体的な負担が減少し、心理的な安定感が増加するのもポイントです。これにより健康な労働環境が構築され、生産性と労働者の満足度が向上します。
メカロック仕様のバランサは、先進的な機械技術を駆使して設計された作業支援装置です。その特徴は、特別なメカロック技術を導入したことにあります。この技術により、バランサは従来型と比べて安定性と精度が向上し、急激な重量変化や振動にも対応できます。このバランサは産業分野や科学研究など幅広い用途で重要な役割を果たし、作業の安全性と効率性を向上させる革新的な装置といえます。
パレタイジング仕様のバランサは物流や倉庫管理において効率的なパレット積み付けを実現するための革新的なシステムです。作業効率の向上、品質管理の向上、労働力の削減、および安全性の向上など多くのメリットがあります。物流や倉庫管理の分野でますます重要性を増しており、製造業や物流業界において広く採用されています。
バランサの省エネ性能は製品によって異なります。各メーカーでは省エネ性能の高いバランサを提供していることもあり、ランニングコスト削減の面においても、省エネ性能の高い製品選ぶと使いやすいはずです。省エネ性能が高い製品の具体例をあげながら解説するので、バランサ選びの際の参考にしてください。
バランサには一定の保証がついていることがほとんどです。ある程度の傾向はありますが、メーカーにより保証期間や保証内容は異なるため、導入の際には保証内容を確認することが欠かせません。公式サイトから確認できる場合もありますが、メーカーへ問い合わせなければならないこともあるため、事前に保証についてのおおよそを理解しておきましょう。
バランサに使用されるつり具(吊具)には、大きく分けて3種類があります。繊維を使用したもの、チェーンを使用したもの、回転したり可動したりするタイプのものなどです。つり具(吊具)は用途により適した種類が変わるため、バランサを導入するならその前につり具(吊具)について、種類ごとの特徴を知っておくようにしてください。
バランサを無線操作にすると、天井が低くいところや手が届かないところでも使えること、業務効率が向上することなどのメリットがあります。しかし同時に注意点もあるのがバランサの無線操作です。無線であるため通信が途切れないよう、配慮する必要があります。無線操作のバランサを導入する際には、メリットとともに注意点も知っておかなければなりません。
バランサとホイストの違いは、荷重への柔軟性や操作性、安定性にあると言えます。ホイストではボタン操作が必要であり、荷重が変わった場合に調整が必要です。また接地や落下の危険性もあります。しかしバランサはボタン操作の必要がなく両手でワークの位置決めが可能です。接地・落下のリスクも抑えられ、荷重が変わった場合は自動的に均衡を保ちます。
ツールバランサとは、作業に使用する工具を吊り下げておき、使いやすくするための装置です。作業の効率性を高めるたけでなく、吊ることにより工具の汚損を防ぐ効果もあります。工具を吊り下げることで作業効率がアップする効果が期待できますが、さらにツールバランサの機能性により作業の正確性が高まることもメリットのひとつです。
バランサにおけるレールシステムとは、面の形状である重量物を搬送させるためのシステムで、3次元での移動も可能です。設置のために大掛かりな工事な不要で、専用ブラケットにて固定するため導入へのハードルも低くなっています。業務効率化に役立つだけでなく、アルミ製であれば腐食の心配もなく長く使い続けられるでしょう。
オイルミストはバランサなど、工作機械を使用する際に生じる恐れがあるものです。環境汚染にもつながりますが、呼吸器や皮膚に付着することにより、炎症や疾患が発症することもあるためバランサ使用の際にはオイルミストの発生を抑える必要があります。クリーンな作業環境を維持するには、オイルミストについて知っておくことが大切です。
ジブクレーンとバランサの組み合わせは非常に相性が良く、作業効率をより高めたい場合、天井高が低い場所での作業に用いたい場合などに適しています。ジブクレーンは肘がついたクレーンのことで、工場や倉庫、埠頭での荷物の運搬に広く利用されるものです。バランサと組み合わせれば操作性が高まったり、労働負担がより軽減されたりとさまざまなメリットがあります。
クリーンルームの作業負担軽減と効率化に役立つのがバランサです。クリーンスーツを着用したまま重量物を運ぶことは重量道であり、製造工程で必要となる工具は常に手元においておかなければなりません。バランサを導入すれば重量物の運搬を任せたり、工具を吊り下げて手の届きやすいところに置いておいたりできるようになるため、作業の効率化が期待できます。
バランサは重量のあるものや手の届くところに置いておきたい工具などを吊り下げるための機器です。大型のバランサは設置場所を選びますが、小型のものやコンパクトなバランサは設置しやすく、点検や修理もスムーズです。受注設計が可能なバランサはサイズや細かな仕様を作業環境に合わせられるので、クリーンルームのような環境にも導入可能です。
「歯止め」の意味をもつラチェット機構を搭載したバランサは、逆回転を防ぐ仕組みによって、任意の位置でロープを停止できます。吊り荷を特定の位置で停止させたいときに適しており、スプリングバランサ製品を中心にラチェット機構が採用されています。落下防止装置などと組み合わせることで、作業中の安全を確保できます。
サニタリー仕様とは、衛生的な(Sanitary)という意味のとおり清掃性や汚れにくさを付加したものです。サニタリー仕様の機械設備は、分解・清掃がしやすく清潔な状態を維持しやすい構造や、汚れが付着しにくい素材を使用しています。サニタリー仕様のバランサは食品加工工場など、原材料に重量物を扱う環境でも清潔に使用できます。
デパレタイズとは、積み上げた荷物を再び下ろす作業のことです。重量物のデパレタイズにはスタッフの労力が必要であり、心身に大きな負担がかかります。事故のリスクも伴うため、安全に作業を進めるためにバランサの導入がおすすめです。作業中の安全を確保し、省力化や省人化にも貢献できる機械設備です。
ジブクレーンは、ジブと呼ばれるアームが付いたクレーンです。大型のものは港湾や建設現場などの屋外で主に用いられ、屋内での軽〜中程度の作業に利用されることが多いバランサとは用途や使用環境が異なります。どちらも物を持ち上げて移動させる点では共通していますが、使用環境や用途に合わせて選び分けることが大切です。
ピッキングとは、指示内容にしたがって積み荷の中から必要な数を集める作業です。手作業によるピッキングでは労働者への負担が大きくなりますが、バランサを活用すれば負担の軽減や人手不足への対応がとれるようになります。アームの付いたバランサも選べるため、作業環境に適したバランサを活用してみてはいかがでしょうか。
ワークの中には薬品や塗料、樹脂といった可燃性の物質を含むものがあります。火災や爆発といったリスクをともなう作業場所は「ガス蒸気危険場所」「粉じん危険場所」にそれぞれ指定され、防爆仕様の機械設備を使用しなければなりません。バランサを危険場所で扱う際には、エアーのみで駆動するタイプのものがおすすめです。
ピックアンドプレースは、ワークを所定の位置から吸着または把持して、定位置にリリースする作業のことです。作業環境によっては重量のあるワークを扱う場合もあるため、バランサの導入がおすすめです。反復性のある作業のため、ピックアンドプレースに対応しているバランサを導入することで、作業者への負担が軽減できます。
ピックアンドプレースにおけるバランサの活用について
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棚入れとは、商品を所定の位置に格納する工程や作業内容のことです。軽量な商品でも、繰り返し行うことで作業者の腕や肩などに肉体的な負担がかかるおそれもあり、バランサのような機器と協働するケースがみられます。バランサを使うことで作業者が力を入れずに商品の上げ下げや移動ができるようになるため、棚入れ作業の効率化に役立ちます。
シャックルとは、吊り荷と機器をつなぐための金具の名称です。また、シャックル式バランサはシャックルが一体となったバランサを指します。ボルト・ナット型やバウ型などいくつかの形状が揃っており、荷物の重さやスリングの本数に合わせて選べます。
サーボ式バランサは、サーボモーターを搭載しスピーディかつ細かい動きに対応しているバランサです。通常のバランサよりも繊細な位置調整ができるため、ワークを指定の場所に移送したり積み込んだりする作業に適しています。細かい調整機能に加えてスピード感もあるため、作業にかかる所要時間の短縮にも貢献する装置です。
アーム式バランサは、従来のバランサに腕(アーム)を取り付けて、縦横・上下の動きに旋回を加えられるバランサのことです。吊り下げたワークを所定の位置に移送し、積み替えや積み込みを行います。特殊アタッチメントやアーム長さのオーダーメイドに対応しているメーカーもあるので、作業内容やワークの種類に合うバランサを選びましょう。
仕分け作業とは、倉庫などで荷物を宛先・サイズ・重量などで分類する作業です。仕分けされたものをピッキング・検品する作業も含まれるため、荷物が重量物の場合は作業者の体にかかる負担が大きくなります。バランサは、荷物の上げ下ろしや搬送、棚入れといった作業に適応できる助力装置のため、作業者の働きやすさに貢献します。
組立作業では、決められた図面や指示に従って部品の組み立てを行います。立ち仕事が多く、重量物を扱う作業も少なくないため、作業者にかかる負担を軽減させるためにバランサが活用されています。バランサは助力装置として、人力では持ち上げられない重さの部品も搬送・上げ下ろしができるため、負担を軽減しながら作業を効率化します。
注湯作業は、溶かした金属を専用の型に入れて成型する作業のことです。バランサは高温で重量のある金属を持ち上げて決められた場所に下ろすため、作業者の負担が軽減されます。自動注湯機とバランサを組み合わせて自動化した実例では、作業者の肉体的な疲労が大幅に軽減され、人手不足の問題にも対応できました。
移動式のバランサは、本体をそのまま移動して使えるものと、本体は据え置き(固定)のまま上部のアームやハンドリング部が移動式になっている仕様のバランサです。固定のバランサは可動範囲が限られてしまいますが、移動式は空間を効率的に使えるため、レイアウトが頻繁に変わる作業環境にも対応しやすいのが利点です。
約200種類
~2000kg
約110種類
【選定条件】
2021年11月1日にGoogleで「バランサ」「バランサー」「助力装置 バランサ」と検索した際に表示されたバランサメーカー22社の内、以下の条件に当てはまるものを選出。
アイコクアルファ:該当メーカーの中でもっとも製品数が多く、尚且つオーダーメイド対応をしている。
ロボテック:該当メーカーの中でもっとも最大荷重が重いバランサを製造している。
遠藤工業:該当メーカーの中でスプリング式、ワイヤーロープ式、ロードチェーン式を扱っており、商品数が最も豊富。